冷たそうな雨に空を見上げていたら吉村さんから「今日はダメやなぁ…」ということで作業は延期になった。
その雨はすぐにみぞれに変わり雪に変わった、しばらくは外の景色が見えなくなるくらい降っていたが、その後雲間から陽がさしてきた。
僕の背中越しに突き刺さってくる、振り向いて目が合ったら
その一途な目力にやられ…「散歩行くかぁ…」と重ね着して
外に出た。
白い雲、少し青い空、北の空は濃い灰色、たまに陽がさし道に影をつくる、そして雨かみぞれか雪も降る…なんでもありな空模様は短い周期で散歩道中に変化をつける。
こんな日だからちょっとそこまでの散歩でお茶を濁しておこうと出たもののなかなか気持ちが良くってどんどん足が進んで行く。
ここまで来たら久し振りに大洞の山越えしよう…という気分になり家から3キロくらい先にあるこのあたりの高みに上がってみることにした。
こんな日のために…と最近2000円で購入した<防水防寒ブーツ>が役にたった、とはいえ<世界長>という長靴メーカー、履き心地は長靴そのものなのだが…。
北側の斜面から入ったのだが森の入口でハナとキノコは野うさぎかなんかの臭いを嗅ぎ付け山の奥へ入り込んでしまった。
30分は森から出てこないだろうと煙草に火をつけ待つことにした…北の空からはほとんど黒に近い重い雲が次から次へと空を走り抜けていく、強烈な風が北から山にぶつかり森のうるさいことしきり、ゴーッとザーッが入り交じり「森が騒いでる」という感じだ。
森は乱暴者の北風に抗いながら生きている底力を見せ戦っているようだ…腹の底に響いてくる森の声は戦場の時の声でもあるように聞こえて来て怖いくらいだ。
そして山の尾根から南側へ降りた途端「嘘でしょ…」と言いたくなる世界があった。
南側から開ける空には太陽と青い空があり、風も森のざわめきもなくシーンとしずまりかえった空気、次のドアを開けたら天と地くらい違う世界、「めちゃシュールやな…」と足が止まってしまった…裏側の世界は知りませんよと落着いた静けさが支配している、これもまた怖いくらいだ。
遠くの山並みも陽の光りをうけて青く山のシルエットを浮かばせている、その横を白い雲が流れている。
尾根を境に別世界がある、北側が激しい地獄なら南側はおだやかな天国のようだ…こんな散歩はちょっとない。
ハナが戻ったのは3時間後であった(泥だらけで…)。
きびしい、小原村の自然の様が印象的。 まこと四季折々、冬には冬の姿がキチット備えられていることを感じ、 何かに感謝したい気持ち!
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