2013年2月26日火曜日

ねこやなぎ


このところ気温もあまり上がらないし、風も強く体感温度は
かなり低いと思う日が続いている、山道も森の影になっている所は一昨日の雪が残り車のタイヤで踏みしめた場所はコチコチの氷だ。
でも植物たちや動物たちの気分は春めいて、新たな生命活動を始めているようだ、どうやら温度よりは日差しがポイントのようである、ようは太陽のエネルギーはもう「春」なんだと感じる。
葉を落とした山々の冬景色の中、家の椿に一輪赤い花を見つけた、ということは…これから花の季節を迎えるということ

…「椿」のあとは「梅」そして「桜」つぎに「山つつじ」
「ふじ」…とこれから花の色と香りに里は色気づく。
椿が花をつけだす頃には「ネコヤナギ」が枝にふくよかな芽をつけるのを思い出し、今日は「ネコヤナギ」を採りに行こうと決めた。
ハナとキノコを軽トラに乗せ、家から5キロくらい離れた林道のとある場所にネコヤナギがあるのでその近くまで行き、
車を止めて山を歩くことにした。
「ここに車を止めれば2キロくらい30分でそこへ着く…」
という思惑で歩き始める、山道も森も林もところどころに
雪が残っているが日差しは気持ちがいい。

…ということで30分で着く予定が…ハナとキノコは大好きな野うさぎの臭いを嗅ぎ取ったのだろう、一気に崖を上り
森へと消える。
待つこと一時間、さすがじっとしているのは限界、2匹を
置いて目的地へ向かう…僕が移動した気配がわかるのか10
分したら走って追いかけてきた。
しかし、それから10分もせず別のポイントでハンターモードに入り、再び森に消えた…「あぁ〜、また30分は…」と
ネコヤナギを採りに行った。
帰り道で2匹と出会うだろうと思ったが出会えず、ピッピッとクラクションを鳴らしながら軽トラでその間の林道を2往復してみたが出てこない…家へ帰ると2匹が何処へ行ってたの?!とばかり待っていた。
結局3時間半のネコヤナギ採りであった。


…今日の終わりの夜の散歩、もう2日くらいで満月を迎えるのか丸い月が天空にあった、オリオンの三ツ星も見えないくらい明るい夜だ、懐中電灯も無しで道には影がくっきり写る
、30m先のハナとキノコの動きもはっきりわかる。
まわり一面ブルーの世界、空気はピーンと冷たく張っているのが心地良い…オヤスミナサイ。


2013年2月22日金曜日

天気もいろいろ、僕もいろいろ…

今朝、東側のヒノキ林から朝日がさして「よし!いい天気」
と蒲団を干し、8時半から山の上の道慈小学校で久し振りの
読み聞かせに行く。
今日のお相手は小学1年生2年生、この前は5年生6年生だったので持って行った本を読まずに小原のついてのトークにしたが…低学年なので楽しくて可愛い話しにした。
「だってだってのおばあさん」という99歳のおばあさんと
猫のお誕生日をめぐっての明るい話しだ…ようは年のカウントではなく、人は気持ちでいくつにでもなれる…という話。
1年2年の子ども達の読み聞かせはとても楽しい、なにか
感じたりしたら即座に突っ込みが入る、真剣に入り込んでくれるのが嬉しい、上級生になると現実とか知識とかイメージ
の世界にひたってくれなくなるからだ。


子ども達と楽しいひとときを過ごし、帰ろうとしたら教室から合唱が聴こえてきた…田舎の学校と子供の合唱はとても
相性がいい感じがする。
窓の外に見える山や林、そして10人に満たない少数学級、
シュチエーションがいいということか、合唱の響きがなんとも純粋な時を戻してくれるよう思う。
曲はよくわからないが、歌詞は送る側からのエールである〜
ということは卒業式へ向けての練習だと理解した、もうその季節であることを思い、「あぁ、あの子たちとは…」と一年の早さをあらためて思い知る。

小学校から帰るとうちのハナとキノコは散歩に出ていない、
よし今のうちにとさっさと朝食を食べ、ナタを手に家の軒にかぶさっている裏山の笹や低木を切りに崖にへばりついた。
天気も良し一時間足らずの作業でも汗がベットリだ、なにせ
足場がない所での作業は安全確保しながら神経を使う上に
ツルが絡みまくって、下手をすると足を引っかけバランスを崩すのでたいした量でもない仕事に時間がかかる。

そしてお昼どきになりハナとキノコも帰って来た…天気は…
曇り空に変わりにわかに冷え込んで来た。
2時から妻が参議院の予算委員会で質問するので、ラジオに
かじりつく…とても緊張感のある質疑で「クニコ頑張れ!」とエールを送りながら、さすが谷岡短い時間でも取るもの取りに行ってる、特に今回は「子供・被災者支援法」の予算確保に全力をあげている。

妻が国会質問している間に窓の外には雪が舞っていた、寒いはずだ、でも暗くなる前にお約束のハナとキノコの散歩に行かねば…とダウンにマフラー、ニット帽で完全防御で森に
入る、犬たちは雪が好きだし森で野ウサギの臭いでも嗅ぎ付けたのか、一人森の中に僕を残して何処かへ行ってしまう。
こんな寒く冷たい日に森の中で一時間ずっと待つのはつらく、体の芯から冷えてしまう。
でも結局一時間半を彼らにあげて帰る、ハナとキノコをこんなに愛してるんだと自己確認した。

家に帰るとすぐ夕飯の準備にかかる、まずはハナとキノコの
特製メニュー、鶏の胸肉、チーズ、キャベツ、ニンジン、サツマイモなどを入れたご飯だ。
そして自分の夕食、今夜はベーコン、じゃがいも、玉ねぎ、
インゲン豆の炒め物と、ダイコンおろしにシラスという献立になった。
食事の後、今日のラストチャレンジ…「キクイモ」を知り合いからもらったので<キクイモの味噌漬け>を作ることに…
以前友人のおかあさんから頂いた味と食感が忘れられず、まずは友人に電話し作り方を聞くところから…

①スライスした芋に味醂を混ぜ練り込んだ味噌を塗りつけながらタッパに敷いて行く
②その1段目にザラメをパラパラとまぶす
③2段目を並べる
④またその上にザラメをパラパラとまぶす
⑤…繰り返しながら8段目まで積んで材料がなくなり終了
⑥この状態で…?何日間くらい寝しておくか聞かなくちゃ!


  
あとはコーヒーを飲み、10時過ぎに夜のお散歩タイム、夜空には星もお月様も出ている、今日はいろいろな天気が時間刻みで変わったなぁ…と思いながら山道を歩く。
満月まで4日くらいか、月明かりだけで充分と懐中電灯を
消して明るい夜道を行きながら空を見上げる…
オリオン座は西の空に傾き始め、東の空には「北斗七星!」
今はこの星座の見頃だと思うので是非見て欲しい。
さあ…これでオヤスミナサイだ…。

2013年2月13日水曜日

ここの人になった実感

一週間ほど前ハナとキノコの散歩に出た時のこと、家から
さほど離れていない山道を歩いていた。
ハナとキノコは僕をおいて先へ先へと行ってしまう、横を
小さな沢が流れている所で2匹が視線は一点に釘付けになったまま戦闘姿勢で固まっている。
僕も2匹の視線の先に何があるんだろうと近づいた時、沢を越えた向こう側、10mくらいしか離れていない草薮の中から突如雲がわくようにイノシシの巨体がもそもそと持ち上がった。
重そうな体を揺すりながら反対側の斜面をと登りその先の薮に消えて行った。
大きさは子牛くらい、きっと重さは130キロくらいある大物だった。

   *以前ハナが第一発見者で獲られた150キロの
    イノシシ

問題はその時の僕の反応である…。
まず「デッケェ〜ッ!!」とその大きさにビックリした、その次に声に出たことが自分でも感心してしまう一言だった。
犬に言ってもしょうがないが声に出た言葉は「うまそう!」
であった。
2月のこの時期のイノシシ、発情したオスは何も食べずに
山の中をメスを求めて走り回りガリガリに痩せているので
食べられたものじゃない…と聞いていたから…。
今、目の前のボテボテの体を揺すって動いてるのはメスだ!
世の中で僕が脂身のうまさではイノシシがいちばんだと思っている僕は、大量の脂身で包まれたこのメスはどれだけ甘みのある肉が取れるのだろう…みんなに食べさせてあげたい…と想像し、そして何も手が出せないことが残念でしょうがなかった。
10mの至近距離であの巨体を前に怖いとか思わず「うまそう!」というのはまぎれもなく「小原(ココ)の人」になったという実感がした。
今年はイノシシが出ても罠にかからないとのこと、逆に罠の在る所は警戒して近づかないと多くの人が言っている、彼らも生きるためにどんどん学習しているようだ。

  *ハナとキノコが第一発見者の120キロのイノシシ


しかし…
「野生」という自分の身ひとつで生きている生き物たち
のなんと存在感のあること、この間見たキツネにせよ、野ウサギにせよ、このイノシシにせよそのオーラが発する孤高の気高さ、凛とした存在感は「神々しい」という言葉がピッタリだ。
神が宿っているいるのか、神と共にあるのか…自然の一端で
在ること、生まれおちて自ずから然りと時を食み、子孫を次に残すことをミッションに生きている。
「自然」に神が宿っているとすれば彼らは全てが自然で、神々しい訳だ。
…そのイノシシを「うまそう!」とは、僕は「ここの人」になった気がする。